EXPERT TECHNIC

井丸博之

敦賀サゴシショアジギング

1.はじめに
中日本の日本海側においては海水温が上昇し始める3月中旬以降にサゴシといわれるサワラの幼魚サゴシが狙えます。
幼魚といっても地方によっては60cmぐらいまでをサゴシと呼ぶこともあり、この場合は格好のルアーフィッシングのターゲットとなります。
大きくなればそれだけ引き味も楽しむことができるということで、関西ではお馴染みのショアから手軽に狙うことができるフィッシュイーターです。
大阪湾沿岸においては初夏から秋口までの時期に接岸します。
しかし、京都の舞鶴や福井の敦賀まで足を伸ばせば比較的長期間にわたって狙うことができます。
1-2月と7-8月とを除けば概ね通年で釣果を得られるのではないでしょうか。

私のホームグラウンドの一つである敦賀については『聖地』と呼ぶ方もいらっしゃいます。
これは4月前後に魚影の濃さが最盛期となり、絶好のタイミングに当たれば簡単に20-30匹を釣ることができ、日によっては大型クーラー満タン、なんてことも良くあったからです。

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ショアから数釣りができ、引き味も楽しむことができるということで『聖地』の一つに挙げられているわけですが、近年では日によって釣果が伴わない、いわゆる’日ムラ’が激しく、釣れたとしても以前のような大漁とまではいえないこともあります。
それでも人気ポイントである理由として、足場が良いポイントが多くファミリーフィッシングに向いていることだと思われます。

2.タックル
80cm超のサワラ級やハマチ大クラスが釣れる時期以外のタックルは次の通りです。

〇ロッド:10フィート前後のシーバスロッド
→基本的にはMHクラスの40g前後のジグを投げられれば大丈夫です。
ショアジギロッドになると喰いが悪い時のショートバイトを弾いたり
フッキング後の身切れを起こしやすくなると思います。
ライトタックルで挑む方が楽しいですし・・・。

〇リール:S社は4000番のXGかHG
G社は3000番のH
→リールは圧倒的にローギヤよりハイギヤがイイです。
ジグの回収、早巻きなど何をするにも有利です。

〇ライン:PEは1.0~1.5号
リーダーはフロロの5~7号を1ヒロ以上
→リーダーは7号ぐらいを推奨します。
ミスバイトであってもカットされずに
傷が入るぐらいにしておきたいです。

〇ジグ:30-40g
→言わずもがな撃投ジグ、レベルが適しています。
向かい風のときはエアロで飛距離を稼ぐようにします。
カラーはゴールド系がメイン、次にピンク、シルバー、ブルピンの順番です。
あとはシルエットが小さく見えるものやケイムラ仕様のものもおススメです。

〇フック類:フロントはJD-22 ジガーライト段差 早掛 3/0もしくは2/0
リアはST-46 スティンガートリプルフック ♯3-♯5
P-10 クロスロックスナップ 0-1号

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→フロントフックはその時々で装着を考えますがリアフックは必ず着けます。
秋口の新しい群れが接岸した時は比較的小型ですので口も小さく、
フッキングに至らない場合も多いです。
この場合はST-46#5までサイズを落とすことで口掛かりが良くなります。
サゴシ・サワラはそのほとんどがフロントフックよりもリアフックにフッキングしています。

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ブリ属のように獲物を頭から丸呑みするのではなく、獲物の一部を齧って弱らせてから捕食するためだとも言われています。
また、早巻きによりジグの後方にフッキングさせることで、リーダーからサゴシの歯をできるだけ遠ざけるようにする意図もあります。
同じ意味ではジグとリーダーとの接続にはスナップを使用します。
大きいサイズのスナップを使用することで鋭い歯からリーダーを遠ざけ、ジグを素早く的確に交換できます。

〇その他:替えスプール2個以上
プライヤーとナイフ
→替えスプールについては相手は牙物のサゴシですから、ジグをその歯でスッパリと切られることもあり、高活性時には連続でやられてしまうこともザラにあります。
この場合、釣り場でリーダーを結束し直すこともありますが時間がもったいないです。
時合いは一時のものであることが多く、事前にリーダーを結束しているスプールごと交換した方が早いです。
プライヤーは釣り上げたサゴシの口からジグを外す時に使用します。
決して素手では行わないようにします。
ナイフは釣り上げたその場でエラを切り〆ることに使います。

上記のように比較的手軽に釣行できることが大きなメリットでしょう。
シーバスロッドやエギングロッドでも30g前後のジグを
遠投することでチャンスは十分にあります。
できるだけ遠投し、巻いてきては底まで落とすというを繰り返します。
繰り返すことでより広いレンジにジグを漂わせ、サゴシにアピールできます。

3.実釣
実際のポイントに立つ際ですが、朝マヅメか夕マヅメを狙うのがセオリーです。
朝は4時半~9時ごろまで、夕方は16時から18時ごろまでではないでしょうか。
餌となるベイトフィッシュを捕食するため活性が高まっていると思われるためです。
しかし、時間が許せば、休憩しつつできるだけ長時間そのポイントに居るようにしています。
これは太陽が昇り、表層水温が上がり始めるとベイトの動きも変わるのか、意外に朝夕よりも活性が高まる場合があるためです。
海面を観察しているとサゴシがボイルしたり、ベイトを追うナブラが起きたりします。
サゴシはその習性からか餌を追う時に海面から跳ねることが多いです。

〇ボイル、サゴシジャンプが良く見られる場合
ジグの射程距離であればそのボイルがあった場所に直撃させるのではなく、周辺数mの範囲に着水させ、あとはタダ巻き、シャクリながらなど
色々なアクションでできるだけ海面から5m内を引いてきます。
あとはサゴシがジグを見つけてくれればバイトしてきます。
夜明けとともにゴールド系から投げ始めていれば好反応を得られます。

〇ボイルが収まった、ボイルがなかった場合
シーズン初めなどは手探り状態です。
よって、メインのゴールド系で反応がなければジグローテーションを行います。
カラー、サイズ、シルエットと底付近だけでなく中層まで引き続けます。
周りでサビキ釣りの方がいらっしゃれば何が釣れているかをよく見ることも重要です。
稚アユかイワシなのか豆アジなのか。
これらが基本的な餌となっているわけですから似通ったジグを選択することも一つです。

サゴシが釣れたら素手では掴まず、必ずプライヤーなどで慎重にフックを外します。
釣り上げた時に暴れて、勝手に外れることもよくあります。
あとはエラを切って、水汲みバケツで血抜きをします。
サバと同様に足が早い(傷みやすい)のでクーラーに入れるか、ストリンガーなどにつないで海中に沈ませておくことで外気に触れないようにします。

4.おわりに
色々と書きましたがサゴシ釣りは難しくありません。
何種類かのジグとそれを投げられる竿、リールがあればシーズン中に釣れます。
引き味もよく、調理方法も様々にあるので飽きません。
かといって、単純なものでもないためハマると思います。
これは釣り全般に言えることかもしれません。
また、ハマチやシオ(カンパチの幼魚)、ソゲ(ヒラメの幼魚)などの外道が釣れることもあります。
これはこれで嬉しいものです。
初めての方はそれらしいポイントに行ってみて周りの方の見よう見まねでやってみてください。
周りが釣れ始めたらその流れで釣れます!
たまに自分を飛ばして両隣が釣れるということもありますが・・・。
雪が降ってしまうと敦賀への交通手段も制限されてしまいますから、本格的な冬が始まる前に是非、釣行してください。

2015.09.08 13:16
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